【移住×開業】畑から始まるパンづくり「自家栽培麦工房NACHU」

FEATUREFebruary.16.2023

いつか地方に移住し、自然豊かな所で自分の好きな仕事をしたい。
そんな夢はありませんか?
コロナ禍で注目された地方移住。
山梨県は都心からのアクセス&自然環境の良さで、例年1位2位を争う人気。
移住地で最も気になるのは仕事のカタチです。

「旦那が畑で小麦づくり、妻が挽きたて小麦のパンを焼く」

北杜市にある「自家栽培麦工房NACHU」
18年前、脱サラして静岡から山梨に移住。
農業もパン作りも未経験、全くのゼロから始めました。

小麦栽培&パン焼きのお店は全国でもごく少なく、山梨県ではNACHUさんだけ。
毎日食べても飽きない、素材の味を引き出した「小麦を味わうパン」が特徴。
リピーターが多く全国からオンラインショップに予約が入り、イベント販売ではすぐに完売。

まるで童話のような理想的な暮らし。
しかし、自家栽培小麦パンを生み出した背景は、厳しく苦難の連続でした。
今月は【移住×開業】山梨県で唯一無二のパンづくり「自家栽培麦工房NACHU」川村さんご夫妻をご紹介します。

▲黄金色に輝く旦那さんが育てた有機栽培麦。奥さんが作る挽きたて小麦の無添加パン。

▲温かく素朴なお人柄。川村雅章さん、めぐみさんご夫妻。

やまなしの自然に惹かれて…。

雅章さんは幼い頃からもの作りが好き。
地元静岡で雅章さんは金属加工、めぐみさんは美容師をしていた。
金属加工はやりがいがあったが40歳を過ぎて、会社の設計図通りの部品作りは「自分の作りたいものではない」と、疑問に思うようになった。
この想いをきっかけに、二人とも仕事を辞め念願の山梨に移住した。

▲お二人でよく山梨に遊びに来て、こっちがいいよねと話していたそう。
右:今やイベントの主役、雅章さん作のピザ窯。

職業訓練で農業を学ぶ。

▲周りで麦栽培農家はいなかった。美しい日常の風景。

農業に興味があった雅章さん、ハローワークの職業訓練で10ヶ月農業を学んだ。
本来は麦栽培希望「穀物」だったが、「果樹」か「野菜」の選択しか無く「野菜」を選んだ。
訓練終了後、麦栽培の技術を学ぼうと麦作り農家を探したが、誰もいなかった。
運良く近隣地区で、学生の地域活性化の取り組みとして一年通して麦を作るサークル募集があり、そこに参加して麦作りを学んだ。

一方のめぐみさん、清里でたまたまパン屋に寄った時一枚の貼り紙に目が留まった。
「アルバイト募集と書いてあって、ふっとやってみてもいいかなと思った」
その場で飛び込み面接、採用された。
ここからパン職人の道を歩み、腕を磨いた。

自分で作った麦を使って、パン屋をやろうよ。

▲一枚の張り紙がきっかけ、ご夫婦で作り上げる唯一無二のパン。

「どうせパン作るんだったら、自分で麦作ってそれを使ったパン屋を作ろう」
いつしか2人はそう語り合うようになった。
実は最初は軽いノリ(!)だったが、そこから長い試練の始まりだった。

小麦栽培、最初にして最大の試練。

▲5月すくすくと育つ青麦、一番美しい新緑の季節。

初年度、収穫する1カ月前早めの台風が来て小麦畑を襲い、なんと麦が全倒伏‼
倒れた麦は絡まり病気が発生、ほとんど収穫出来なかった。
1.2トン収穫の予定がわずか100キロ。
さらに2年目も麦栽培は上手く行かなかった。

それでも諦めずアルバイトしながら、無化学農薬・無化学肥料・無除草剤・有機栽培麦
と野菜を作りに取り組んだ。
麦は踏まれて強くなる。(文字通り!)
徐々に自分の目指す小麦栽培が出来るようになり、収量もぐんと増えた。

▲収穫後、検査機関に出して合格したものを乾燥・低温貯蔵で保管管理。一年で使う全ての小麦を確保する。(※赤カビの小麦DON検査)

▲母屋手前のパン工房&店舗&ショーケース:全て雅章さんのDIY!

2012年、ついにパン屋を開業!
小麦栽培、収穫、乾燥、低温保存管理、日々使う分だけの小麦製粉は雅章さん。
パン作り、商品包装、接客とお店はめぐみさんが切り盛りした。
コロナの影響で通販が急増したため、めぐみさんの体力的な事と、フードロスの解消もあり、お店はしばらくお休み。現在は通販・イベント・卸のパン工房をしている。

農業専門誌に紹介される。

さまざまな経験から、病害虫は必ず来る事を前提にした雅章さん。
連作障害を防ぐため、専門書を読み漁り試行錯誤をした結果、マメ科の植物を隔年で栽培し土壌に漉(す)き込む形に落ち着いた。
自分の中で微調整はありながらも、化学肥料・化学農薬・除草剤不使用・有機栽培小麦作りの体系を確立出来たのはなんと(!)昨年の事。
農業を始めて実に12年目だった。

ちょうどそのタイミングで、農文協の現代農業から雅章さんの麦栽培法についての寄稿依頼を受けた。

▲農文協・現代農業から寄稿依頼。(2023年2月号)

NACHUパンのこだわり

▲左:挽きたて小麦を使ったナチュパンセット8コ入り \2.600(税込)トーストするとさらに香りが引き立つ♡
右:ゆめかおり(強力粉)スペルト小麦(古代小麦)

「輸入小麦は扱い易いのですが、自家製はちょっと勝手が違いますね。収穫したあと熟成させ、触ってもデリケートな感じで水分量も全然違います、」とめぐみさん。
小麦は挽いてから時間が経つと香りが飛ぶため、日々作る分だけを製粉する。
材料に余計なもの、混ぜ物などは極力入れず、小麦そのもの風味を生かすのがこだわり。

いろいろな人との出会いが最高の収穫。

移住×開業して一番良かった事は「人との出会い」
全国からご注文頂くお客様や、イベントを通して知り合ったお客様との交流が何より嬉し
く、サラリーマン時代には考えられなかった事だそう。

その交流の場が3年ぶりに開かれました。

麦踏み&自家栽培麦ピザ作り体験!

2023年1月下旬、コロナでお休みしていた「麦踏み」イベント再開。
※麦踏みとは?
麦を踏む事で、根張りの増強、倒伏防止、成長促進など小麦栽培の重要な作業。
「元気に成長させる為に麦を踏む」という奥深い(!)体験に大人も子供も興味
津々!

▲4家族・子供10人が集合。ふみふみローラーはまるでアトラクション!子供たちは大喜び!

▲ピザ生地に好きなトッピング乗せて。もうお腹ぺこぺこだぁ~。ピザは3分位で焼けち
ゃいます♡

麦踏みの後はお楽しみのピザ作り、あつあつのピザの美味しさに歓声が上がりました。
NACHUのパンも籠一杯に並び、大大満足の一日でした。
ごちそうさまでした。貴重な農業体験をありがとうございました。

※6月麦収穫、11月種まきイベントの予定です。


▲富士山・甲斐駒ヶ岳・八ヶ岳に囲まれた雄大なパノラマはやはり童話の世界。

「私たちはどちらかが倒れたらおしまい。まだまだ若いからがんばります。これからも皆様の食卓を彩る風景を心に描きながらパンを作っていきます」と川村さんご夫妻。

クリエイティブ&トライ、二人で共に作り上げる暮らし。
ある時は台風で全滅。病害虫、土づくり。自然から学ぶ、苦しさも、喜びも。
移住して18年。
畑からはじまるパンづくりは、人の出会いを繋いで大きな実りとなりました。

【自家栽培麦工房NACHU】
山梨県北杜市高根町村山北割1803
TEL:090-4857-6646
FAX:0551-47-5286
(※現在はオンラインショップ中心で暫くの間店舗はお休み)【Instagram】
https://www.instagram.com/nachu.komugi/

【オンラインショップ】土曜日発送
https://nachupanya.com/

(追記)
NACHUさんの家の近くに新築の家が施工中。
今度都心からご年配のご夫婦が移住されてくるそう。
とっても楽しみにされているそうです❤


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